ドキュメンタリー映画「シリーズ憲法とともに歩む」
 
憲法ー歴史・未来館
  中小業者は憲法とどう向き合ってきたか
全国商工団体連合会
2006/09/14

全国商工団体連合会(全商連)は1951年に創立され、今年55周年を迎えました。今年開いた第47回定期総会の方針には、随所に「憲法を生かす」の言葉があります。特にその中から、平和、税金、経営の問題などについて、中小業者運動の歴史を踏まえて憲法との関わりをまとめてみました。

1、平和こそあらゆる生活・活動の前提条件
「平和こそ商売繁栄の土台」――この言葉は平和の尊さを訴えると同時に、中小業者が痛切な戦争の教訓から導き出した合言葉として、受け継がれてきました。
  310万人の日本人、2000万人以上のアジア人が殺された第二次世界大戦では、自らあるいは親族が、徴兵制で戦地に動員され辛酸を味わっただけでなく、中小業者は国策によって整理・解体されていきました。
  「(太平洋戦争)開戦直後の(1941年)12月11日、企業許可令が制定され、新規開業ができなくなりました。翌年1月、当時の岸信介商工大臣は帝国議会で『中小商工業の整理問題に関連して…戦時下において国家が最も必要とする仕事に力を尽くして貰う……』と答弁し、4月には『小売業整備要綱』、5月には『企業整備令』が制定されました。この結果、小売業の7割が整理されるなど、中小企業の解体が強行されました。そして71万人を超す中小業者が戦争政策遂行のため重点産業へ動員されました」(「民商・全商連の50年」第1章より)
  こうした経験から多くの中小業者は「平和なくしては中小業者の営業は成り立たない」と身をもって学びました。「もう戦争はしない」「軍備をもたない」という憲法の平和原則を歓迎し、戦後の平和運動にも積極的にかかわっていくことにもなりました。
  1954(昭和29)年3月1日、マーシャル諸島・ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験で、この付近で操業していた多くの漁船とともに、静岡・焼津のマグロ漁船、第五福竜丸が「死の灰」を浴びました。乗組員の久保山愛吉さんが死亡し、水揚げされたマグロからは強い放射能が検出されました。これによって魚市場ではマグロがまったく売れなくなり、すし店の売り上げは3分の1に激減するという状況に追い込まれました。全国商工団体連合会と東京商工団体連合会は@原子兵器の製造・実験・使用禁止A安心して魚が食べられるように食品検査の徹底B米国政府による被害の全額補償――などを求めた署名運動を全国に呼びかけ、鮮魚店、漁業者らを中心とする運動が急速に広がりました。そして、その年の8月に原水爆禁止国民大会が開かれ、翌年には広島で第1回の原水爆禁止世界大会の開催へと発展しました。
  その後も、民商・全商連は60年安保闘争はじめ、基地強化反対、核兵器廃絶の署名運動など、憲法の平和原則をよりどころにすることによって平和・民主主義を守る運動の先頭に立ち、大きな役割を果たしてきました。
憲法や教育基本法を改悪して日本を再び「戦争できる国」にしようとする動きが強められている今、「国民主権」「恒久平和」「基本的人権」をはじめとした日本国憲法の大原則、「戦争放棄」と「戦力、及び交戦権の否認」を明記した憲法9条など、世界に誇るべき進歩性をあらためて学ぶことが必要になっています。それが、近隣アジア諸国との友好を強め、世界に平和外交を広げ、日本でも平和のゆるぎない世論を形成していく力となります。

2、税制、税務行政面でも「国民主人公」を
  中小業者のたたかいは、一貫して、厳しい税金の取り立てとのたたかいでもありました。
戦後の混乱期には、アメリカ占領軍と政府のむごい徴税に対して、生活擁護同盟などをつくり抵抗。その後、「生活費に税金をかけるな」「自家労賃を認めよ」と団結してたたかってきました。そして、政府が繰り返しねらってきた大型間接税創設に対して、国民的運動を広げながら阻止のたたかいを果敢におこないました。国民の消費一般に課税する消費税は1989年に導入されましたが、国民世論は97年まで税率を3%に据え置かせ、その後も5%から2けたへと引き上げようという政府・与党などとの激しい綱引きをおこなっています。
「国民が主人公」という憲法の原則を税制、税務行政に生かすために、全商連は2001年に「納税者の権利宣言」(第4次案)を策定し、その「あるべき姿」を提言しました。ここでは、@生活費に課税すべきではないA大衆的な消費課税は廃止すべきであるB税金は能力に応じて公平に負担すべきであるC主権在民の憲法にもとづく申告納税制度は擁護、発展させられるべきであるD住民主人公にふさわしい地方税財政を確立すべきであるE納税者が税金の使途について発言し、監視し、是正する権利を保障するべきである、の6点の実現を要求しています。
先進国では当たり前の「納税者の権利憲章(法)」が、まだ制定されていないところに、日本の後進性が示されています。憲法改悪の動きや人権無視の税収奪が強まっている中で、私たちはあらためて運動体の原点に立ち返り、憲法を力に国民主人公の税制を実現しようと、憲法がうたっている租税法律主義(30条、84条)、生活費非課税の原則(25条)、応能負担の原則(13条、14条、25条、29条)、納税申告権(前文、13条)、人権侵害を許さない(13条、31条)などを学ぶ運動にとりくんでいます。

5・27集会

3、商売を守り発展させるためにこそ憲法を生かして
  総会方針では、冒頭に「民商・全商連はこの2年間、憲法の平和的・民主的条項を中小業者の営業と生活、権利を守る力とし、小泉『構造改革』の悪政と対決するなかで、切実な要求実現のために奮闘してきました」と述べ、憲法が中小業者のたたかいの指針となってきたことを示しています。そして、運動方針を述べた部分では「憲法は、基本的人権などの自由、及び権利を、国民が不断の努力によって保持することを奨励し、『幸福追求権』や『結社の自由』『勤労者の団結権』を明記しています。また暮らしに欠かせない『社会福祉・社会保障の向上』を国の使命と位置づけています」 として、中小業者が団結して、国・自治体や大企業を相手に交渉し、切実な要求を実現していく力になり、また社会保障の改善を迫っていく力にもなっていることを示すものとなっています。
  中小企業はこの4年間に51万社も激減し、存立基盤を大きく失っています。それでも、中小業者の「営業と暮らしを守りたい」という運動は、困難のなかでも多くの成果をうみ出しています。この2年間をとってみても、地域経済活性化のための小規模事業登録希望者制度やリフォーム助成制度の実現や拡充、「まちづくり3法」改正による郊外型大型店の出店への規制の実現、「PSEマークの付いていない中古家電は売れない」とされたリサイクル問題では経済産業省の一律的な適用をはね返し事実上の販売許可をかちとった成果など、数多くの成果を得ています。
憲法の改悪に反対するとともに、憲法の平和的・民主的条項を中小業者の営業と生活、権利を守る諸要求実現の運動に徹底して生かすことが、私たちに求められています。
(2006年8月25日)


 
企画:橘祐典、片桐直樹、大澤豊 
第一篇監督・脚本:片桐直樹 90分 短縮版
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小山内美江子(脚本家) 伊藤 真(「伊藤塾」塾長) 香山リカ(精神科医) 鬼追明夫(元日弁連会長)  品川正治(経済同友会終身幹事) 橘 祐典(映画監督) 辻井 喬(作家) 山田洋次(映画監督)

 
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