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勇気と希望を与えてくれる平和ドキュメント
〜映画「戦争をしない国・日本」感想 |
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生井弘明(『われら愛す』著者) |
2006/10/26 |
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冒頭のシーンから耳をつんざくような爆発音とともに、日米合同軍事演習が展開される。合同といっても正確にはイラク帰りの米軍が自衛隊に戦闘訓練を教育しているのがよくわかる。そのシーンの最後には米軍の司令官が「日本は世界でもっとも信頼できる友である」という趣旨の発言をして終わっている。「信頼できる」とは、自衛隊はつねに米軍の言うなりに行動し、やがては日米合同して海外で戦争をやってくれるという期待感の表れであろう。
この映画は特に戦後60年間、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうに」と新憲法で世界に誓った日本が、憲法九条の平和主義をふみにじり、戦争を出来る国にしようと日米合同で画策している動きと、これに正面から対峙して憲法九条を守っていこうとする市民運動の歴史を90分にまとめた迫力と説得力の両方を兼ねそろえた純粋のドキュメント映画である。
この種のドキュメント映画は今までにもいくつか作られ、私もテレビやビデオなどで何度か見たことがあり、同じようなシーンが散見されたが、にもかかわらずこの映画は憲法九条をめぐる動きのみに絞って映像が展開されていくという今までにない構成をなしており、さらに初めて目にするシーン例えば「警察予備隊入隊風景」などもあって、興味が尽きなかった。
ただ、60年間を90分にまとめるという困難な作業の中で、何もかも全てという訳にはいかない。例えば、砂川事件、百里基地闘争、恵庭事件などの個別事件の紹介はあまりにも端折りすぎて若い人にはよく理解されないのではないだろうか。
しかし、半面こうした平和主義を否定する日米政府の画策に反対し、憲法九条を盾に各地で展開されている「九条の会」を中心とした平和・反戦運動や世界的規模の平和運動の映像は私たちと思いを一つにしているだけに、見る者に勇気と希望を与えてくれる。客席からスクリーンに向かって「がんばれー」と声をかけたくなるくらいの連帯感が湧いてくる。
できれば、各シーンの所々に市民の生の声が入っていれば、もっと親近感が持てる映画になったのではとの感想を持った。いずれにしても、純粋でまじめな平和ドキュメント映画である。
生井弘明氏:
1934年生まれ。元東京都立高校教員。
2005年、『「われら愛す」−憲法の心を歌った“幻の国歌”』を出版。
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