 |
|
<伊藤真と香山リカの本音トーク>
いまどきの人々と憲法をどう語り合うか・・・(3)
|
|
|
■正面から訴え、まじめに向き合ってみる
【伊藤真】私は学校に呼ばれて、高校生に話をするときがあるんですね。そうすると、あぁ、やっぱり憲法ってのは大切なんだなぁとか、いいもんなんだなぁとか、本当に純粋で素直な子たちがそのまま受け止めてくれたりするんですね。ところが、そうだったということを大人に話したりすると、それは洗脳だって言われることがあるんですよ。私はその洗脳でいいじゃないかって・・・
【香山リカ】うん、私もそう思いますよ。
【伊藤真】まさにね、若いころにがんがん憲法の大切さを伝えないといけないと思うんですが、いやもっと生徒たちにはいろいろ批判精神も同時に植えつけなくちゃいけないとか・・・
【香山リカ】すごく"よきにはからえ"ですけど、悠長ですよねぇ〜。
【伊藤真】悠長だと思うんですよねぇ。本当に素直に感じてくれてる子には、どんどん伝えていかないといけないと思うんです。
【香山リカ】いや、だってね、北朝鮮の核実験については過去の映像なんかも使って、おどろおどろしい音楽とともにガーンって出してきて、ああいうの見ると、確かに若い人なんかは、これは大変だって思うのは、ある意味当然だと思うんですよ。それだってマインドコントロールだと思うんですよね。そういう現実がある以上はこちらも、っていうのもおかしいですけども、ある種それに対抗する方法を持ってやっていかないといけないわけですよね。
【伊藤真】だと思いますよね。そこでなんか、あまり奇麗事ばかり言っていたり、格好つけてたらいかがか、と思いますよね。
【香山リカ】そうですよねぇ。
【伊藤真】私なんかも、司法試験などの受験生が絶対に合格するという、その気になってもらうことが重要な仕事なんですよ。
【香山リカ】モチベーションを高めるんですね。
【伊藤真】司法試験は難しい試験なんだけれども、自分でも受かるっていう気になってもらうのが、あと、そのモチベーションを高いレベルで維持してもらうことが、実は一番大切なんです。試験勉強は結構期間がかりますから、落ち込みそうなときにどう自分自身を支えるか、ということなんです。そこで、自分もやればできるかもしれないという自信を持ってもらうことが重要なんです。
【香山リカ】ある意味で心理療法的ですよね。
【伊藤真】でも、そんなの詐欺だって言われたりするわけです。全員受かるわけじゃない、客観的には受かる人はごくわずかじゃないか、ってことです。もちろん合格できると思ったからといって、誰もが絶対100%受かるわけじゃないけれども、でもそう自分を信じなかったら、まぁほとんど合格は不可能だと思うんですよね。
【香山リカ】まぁそうですよね。
【伊藤真】そのときに、あんまり奇麗事言っても仕方がないだろうと思うんです。だから、もう憲法を変えるべきだと思い込んでいる人を説得するのは、それはなかなか大変そうだと思うんですけど、まぁどっちでもいいなぁと思ってる人たち、それよりも家でテレビを見ていたほうがいいやと思ってる、そんな層の人たちには明確に伝えていかないといけないと思うんです。
【香山リカ】その点、あの爆笑問題の太田光さんがね、明確に憲法「改正」に反対していることって重要ですよね。
【伊藤真】素晴らしいですよね。
【香山リカ】太田さんの本『憲法九条を世界遺産に』がすごく売れてるし、評判にはなっていますよね。
ただ、私はね、あの本はもっとスキャンダラスなものとして取り上げられるかなと思ったんですけど、それはなかったじゃないですか。私は、太田さんはそれなりの覚悟をもって、もうこれでテレビの世界で干されるかも、っていうぐらいの覚悟を持ってあの本を出されたんじゃないかと思うんですけれど、なんかこう、別にそれはそれとして、まぁ「爆笑問題」としては相変わらずテレビでも重宝がられて、出てますよね。だからといって、じゃあ太田さんの発言をみんなが受け入れているかっていうと、なんかそうでもない。あれはあれ、これはこれ、みたいな感じに分離されていますよね。私は、あの人気者の太田さんがここまで言ったっていうんで、問題発言じゃないか、なんて言われるくらい社会的な話題になればよかったと思うんですけどね。なんか全体的に、まじめな議論が行われない風潮があるように思いますよね。
太田さんは、小泉さんから桜を見る会に誘われた時に、政府に批判的なこと言ってるんで何か言われるんじゃないかと構えて行ってみたら、小泉さんからは、いやぁどうもどうも、よくテレビに出てるね〜、じゃあ、とかということで肩透かしだったみたいな話をあの本の中に書いてるけど、まさに今、全体がそうだと思うんですよ。太田さんがあれだけ真剣に言ってるんだから、みんなもうちょっと真剣に取り上げてあげないとかわいそうだなって気がするんですよね。
【伊藤真】そうですよねぇ。やっぱりその真面目に向き合うってことが、あまりなくなってきていますよね。
【香山リカ】そうですよねぇ。
【伊藤真】ちょっと外すって言うのかな。
|