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<伊藤真と香山リカの本音トーク>
いまどきの人々と憲法をどう語り合うか・・・(4) |
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■いま若い人たちが拠り所を求めている!
【香山リカ】ところで、でもどうなんでしょう。私が今10代だったら、本当に憲法を守るって言うのか、どっちだろうなぁ、ってよく考えるんです。なんか今、きっちり現実を見据えてる気分になっている人たちは、やっぱり北朝鮮の問題とかそういうニュースなんかを見て、ちゃんと改憲っていうのを考えるほうが社会的意識が高いっていう、今たぶんそういう雰囲気があるんじゃないかと思うんですね。
【伊藤真】リアリストってやつですね。
【香山リカ】そうそう、だと思うんですよね。
【伊藤真】そのほうがやっぱり、社会を見てるとか、格好いいとか・・・
【香山リカ】ああ、そうですよね。ちゃんと考えてるっていうか。
【伊藤真】非武装だとか、そんな夢みたいなことばっかり言っていられないぞ、自分は考えてるぞ、っていうような感じですかね。
【香山リカ】そうですよねぇ。そういうのがあるんじゃないですかね。無関心という人が多いのかもしれないけど、ものを考えたいとか、いろいろ知りたいっていう人は、なんか改憲にいかざるを得ない、っていうような状況もあると思うんですよ。で、ちょっと背伸びして、なにか読んでみたいと思っても、私がもし今の若者だったら、やっぱり小林よしのりさんのゴーマニズム宣言とかを読んじゃうと思うんですよね。いわゆる平和主義の本で、これだったら読んでみたいっていうものが、たぶん今、若い人たちに魅力的なものってそんなにないんじゃないかな、っていう気がしますよね。
【伊藤真】なんか、やっぱりナショナリズムだとか、改憲のほうが、こう、熱くなれる感じなんですよね。
【香山リカ】そうかもしれないですよねぇ。
【伊藤真】やっぱり平和は大切です、とかそういうことは、ある意味常識というか、誰もが言うようなことじゃないですか。そんなの当たり前で面白くない、なんて感じられちゃうところがありますよね。当たり前のことを当たり前に堂々と言うっていうのは、実はすごく勇気がいることだし、大事なことなんだけど、いろいろ考える人たちというのは、誰もが言うようなことでない方に流れていってしまうのかもしれませんね。
【香山リカ】そんな感じ、たしかにありますよね。
それと、村上龍さんの『半島を出よ』にあったんですけど、北朝鮮からテロリストが襲ってきて、たくさんの人が死んでいるのに、平和団体の人たちっていうのは、丸くなって、キャンドルを灯して、歌を歌ってるっていうシーンがあったんです。それが平和主義の姿であるという感じで、ちょっと滑稽な姿に書かれてるんですよね。
【伊藤真】なるほど。
【香山リカ】おそらく多くの人たちからは、平和運動とかね、平和を守ろう、とかっていう活動というのはそんなふうに見えちゃってるのかな、って思うんですよね。
【伊藤真】自分を振り返って見ると、私は高校のとき、弓道部だったんですけど、毎日授業が終わって、着物に着替えて、袴はいて、それで弓道場に弓を持って行って。で、週によっては道場へ行って、かしわで打って、それで一日「ハイッ」ってやってるわけですよ。
【香山リカ】ええ。
【伊藤真】そういうことに酔うわけですよ。
【香山リカ】あぁ、型みたいな、ですよねぇ。
【伊藤真】型みたいなもの。それから、日本みたいなもの。私は、たまたま中学のときに親の都合で2年ばかりドイツに行ってたものですから、外から日本を見て、日本人は日本人だな、ってちょっと思ったりして、それをそのまま引きずってましたから、日本人としてあるべきとは何だとか、日本の歴史はどうだったかとか、そんなものにすごく当時はあこがれていたんですね。それで弓道部に入って、そんなことをやっていく中で、戦争で日本は負けたけど、でもそれはどうだったんだろうとか、やっぱり今の、なんだろう、改憲派の人たちが言うような、そういう思いのほうが、やっぱり熱くなれるし、なんて思っていたんです。
【香山リカ】あぁ、なるほどねぇ。そういう点では、小泉さんの靖国神社訪問なんていうのも、みんながそういうものに酔いしれた、たぶんそういう瞬間だったわけですよね。あの小泉さんが黒い車で官邸を出発し、靖国に到着して、っていうところを、8月15日に、みんながおそらく今おっしゃったようなことの気分になったのかもしれませんね。日本人として、まさに型をふまえて、参拝して帰ってくる、っていうね。
【伊藤真】そうですね。
【香山リカ】ま、疑似体験したわけですよね。
【伊藤真】はい。
【香山リカ】確かにそれをやってみるっていう、ある種の気持ちよさとか、そういうことをすることによって、私は日本人なんだっていうことで、なんか拠りどころを得た気持ちになるとかね。それは、気分としてはとてもよくわかりますよね。
【伊藤真】若い人たちがなんかそういうものを求めたって言うのかな。そういうのに寄りすがるっていうのかはよくわからないですけど。
【香山リカ】なんかそれは暴走族の人たちが「日の丸」を掲げて走り回っているようなものかもしれませんね。
【伊藤真】そうかもしれませんね。
【香山リカ】特攻服に日の丸を背負って、っていうのと、まぁ同じような感じですよね。
【伊藤真】同じような感じだと思うんですよね。自分もそういう子どもだったもんですから、わかるような気がしますね。ただ私が高校生の時には、やっぱり社会のことを知らなかったわけですよね。いろいろな歴史の事実も知らないし、もちろん憲法についても知らない。そこに、日本という国についての知識だけがふわっと広がっちゃっうわけですよね。そういうバランスの悪さっていうのを、今から振り返ると感じるわけですよね。
【香山リカ】なるほど。
【伊藤真】その後もう少しいろいろな知識なり事実なりを知ってくると、どうも違うなとか、ごちゃごちゃごちゃごちゃ考えていく中で、やっぱり日本国憲法の9条っていうのはすごいっていうふうに、ちょっとずつ変わってきたわけですよね。高校生の頃は、軍隊も普通の国ならばあってもいいんじゃないかって思ってた時期もありましたからね。でも、ちょっとずつ変わってきたわけなんですね。
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