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<伊藤真と香山リカの本音トーク>
いまどきの人々と憲法をどう語り合うか・・・(8) |
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■歴史の事実を学び広げながら・・・
【香山リカ】伊藤さんが仰っているような、今の憲法の良さとか、人権の保障ってこととか、そうした若い人たちにどのくらい理解されるか、っていうこともあると思うんですよね。
【伊藤真】そうなんですよね、それと、やっぱり権力に対する依存意識っていうのかな、警察は自分たちを守ってくれると思っている学生も結構いますよね。公安警察かなんかが大学の中に入ってきて、いろいろ調査していったっていう事件の判例があるんですけど、私の中には、そんな警察権力が大学に入り込んで、かぎまわるなんてとんでもない、っていう感覚があるもんですから、そっからスタートしちゃうんですが…。
【香山リカ】えぇ、えぇ。
【伊藤真】ところが、学生から、警察に見張っててもらうことが、なんでそれが怖いことなんでしょうか? なんて聞かれちゃったりする。すると、もう、どこを共通の接点として、議論を積み上げていけばいいのかって、そこがわかんなくなっちゃうときがあるんですよね。
【香山リカ】そうですよね。
【伊藤真】権力は怖い面もある、だから気をつけなくちゃいけないぞ、っていうところがあって、そこで憲法っていうのが存在するわけですから。
【香山リカ】権力を監視する装置が憲法なんですよね。
【伊藤真】もちろん警察は必要なものだし、頼んなくちゃいけないときもあるけれども、でも怖い面もある、だから気をつけなくちゃね、っていうところまで下りていって、そこからスタートさせなければならないのかって、すごく悩むときがありますよね。
【香山リカ】最近の学生さんたちをみていると、政府のすることにわりと寛大ですよね。NHKの番組づくりに安倍さんたちが介入したという問題も、結局うやむやになっちゃってますよね。それもなんか、もし本当に介入したとしたとしたって、しょうがないんじゃない、っていう、なんか寛大というか寛容になってるんですよね。テレビ番組のやらせの問題とかでも、学生たちは、まぁこのぐらいなら別に目くじら立てなくても、まぁ、おもしろいんだからいいんじゃない、とか、なんかそういうことですよね。あくまでその時の自分にとってですけれど、おもしろいとか、安全だとか、楽だとか、快適だとか、そのためにはある種の嘘とか、支配とか、管理とか、コントロールとかもやむなし、っていうようなことなんですかねぇ。
【伊藤真】みんながやってるんだからしょうがないってことですかね。
【香山リカ】あっ、そうですねぇ。
【伊藤真】そんな世の中きれいごとばかりじゃないんだから、ということかもしれない。そういうちょっと汚れたところがあっても、それを飲み込むのが大人だよな、っていう感じかもしれない。
【香山リカ】そうですねぇ。なんかそういうふうに価値観が変化しつつあるとすれば、じゃあどううまく伝えればいいんでしょう。
【伊藤真】まぁ、人間関係とかね、個人のレベルでは、そういうのってアリだと思うんですよね。人間だって完全じゃないわけだし、いろいろ、ごまかしながらお互いに人間関係を作ってたり、ということは現実にあるわけだし。ただ、それが個人と権力との間では、やっぱりそれは違うんだっていうことなんですよね。
【香山リカ】そうですよねぇ。で、またほら、権力って、別に昔と違って、悪人の顔してるわけじゃないですよね。個人的に会えば意外にいい人だったとか、真面目だったり、おもしろいんですよね。漫画の中みたいに悪巧みをする悪人、というわけじゃないんですよね。巨悪みたいなっていうのはあまりないと思うんですよね。そういう中で、どうやって権力というものを理解するかって、結構難しいですね。
【伊藤真】昔なんかは、機動隊とかに学生が殴られたりしたわけですよね。ところが、たとえば最近の警察官なんかは、飲酒運転の運転手に対してすごく優しく接してたりするじゃないですか。権力って怖い時があるって、そういう感覚を持つことが、すごく今難しい気がしますね。
【香山リカ】権力って言っても、そんなに怖くもないから、ある程度権力をいろいろな力をゆだねてもいいのかもしれないなぁとかって、私みたいな人間も錯覚しそうになる瞬間がありますよね。
【伊藤真】だから、そういう状況の中で、いろんな工夫をしながら、若い人たちに対しても、いろんな問題を提供していかないといけないっていうことではあると思うんですけど。その一つの手法として、あくまで一つなんですけれども、憲法の歴史を学ぼうということで、この映画を作ったんですよね。
【香山リカ】すごく真面目な映画ですねぇ。もっとハデな演出があるのかと思ったので、意外感もありました。
【伊藤真】そうですね。
【香山リカ】でも基礎資料としては、すごくよくわかりやすい内容になってますよね。
【伊藤真】その資料はまさに事実だから説得力がありますよね。また、学生たちは基礎資料自体もあまり教えられていませんからね。もちろん、これをただ観てもらって、それで終わり、っていう話にはならないですよね。いろいろ知恵を絞っていかないとダメですよね。
【香山リカ】そうですよね。
【伊藤真】今日はどうもありがとうございました。これからも憲法の考え方を広げるために頑張って生きたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
【香山リカ】こちらこそ、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
【伊藤真さんのプロフィール】
伊藤塾塾長。法学館憲法研究所所長。
1984年、弁護士登録。1995年、憲法を実現する法曹養成のため「伊藤真の司法試験塾」(現在の伊藤塾)を開業。弁護士業務を休業して指導に専念。2002年、法学館憲法研究所を開設し、現在その所長を兼ねる。
『憲法のことが面白いほどわかる本』(中経出版)、『憲法のしくみがよくわかる本』(中経出版)、『伊藤真の憲法入門』(第3版)(日本評論社)、『伊藤真の明快!日本国憲法』(ナツメ社)、『高校生からわかる 日本国憲法の論点』(トランスビュー社)、『夢をかなえる勉強法』(サンマーク出版)、『夢を現実に変える方法』(サンマーク出版)、『会社コンプライアンス〜内部統制の条件』(講談社現代新書)、『夢をかなえる時間術』(サンマーク出版)など著書多数。
伊藤塾ホームページ:http://www.itojuku.co.jp/
法学館憲法研究所ホームページ:http://www.jicl.jp/
【香山リカさんのプロフィール】
精神科医。帝塚山学院大学人間文化学部人間学科教授。
学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、新聞、雑誌で社会批評、文化批評、書評なども手がけ、現代人の"心の病"について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。
「仕事中だけ《うつ病》になる人たち」(講談社)、「スピリチュアルにハマる人、ハマらない人」(幻冬舎)、「40歳からの心理学」(海竜社)、「老後がこわい」(講談社現代新書)、「チルドレンな日本」(佐高信・香山リカ著、七つ森書館)、「いまどきの『常識』」(岩波新書)、「<私>の愛国心」(ちくま新書)、「ぷちナショナリズム症候群」(中公新書ラクレ)、「若者の法則」(岩波新書)、「<じぶん>を愛するということ−私探しと自己愛−」(講談社現代新書)など著書多数。
朝日新聞書評委員などを務める。
ホームページ:http://www.caravan.to
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